リカンベントって、どんな自転車?
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2台のリカンベントを所有されてる矢野さんと、近所の峠へサイクリングに行ってきました。
まだまだ発展途上にあるリカンベントには、普通の自転車のような定番デザインが定まっておらず、それゆえに各モデルごとの性格が大きく異なるのですが、今回はその中でも、今後定番になる可能性を秘めた2モデルに試乗してみました。 |
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【0】 試乗車紹介
今回、試乗したリカンベントは、
二輪のビジョン(Vison)(米国製)と、 |
三輪のウインドチータ(WINDCHEETAH)(英国製) |
いずれもリカンベント界を代表するモデルで、普通の自転車に見られない工夫が随所に施されており、メカニカルな魅力もたっぷりですが、まずはリカンベントそのものの魅力や、二輪、三輪の車輪数の違いによる走りの特徴を、この試乗で探ってみたいと思います。
【1】 簡単に乗れるの?
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三輪はともかく、二輪のリカンベントを見て、皆が口にするのは、「簡単に乗れるの?」という疑問。
結論から言えば、すぐに慣れます。たぶん普通の自転車に乗れるのなら、誰でも乗りこなせるのではないでしょうか。シートに座ってペダルをグイッと踏み出せば、すぐに安定して走り出し、ビジョンのようなショートホイールベースのモデルなら、渋滞のスリ抜けだって難なくこなすことができます。
ただ最初はやはり、普通の自転車との違和感に苦戦するかもしれません。自分の力で無理にコントロールしようとすると、あっという間にバランスを崩します。実際、当店で試乗してもらった50〜60人のうち、乗り初めでコケた人が5人程いて、うち一人(女性)は恐怖が先行して全く乗れなくなってしまいました。が、小学3年生の女の子が乗りこなしているのも事実で、普通の自転車と同じく、慣れてしまえば、以後、マシンコントロールに不安を抱くような事は無くなると思います。
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一方、「三輪なら誰でも簡単に乗れるじゃないか」というと、そのとおり、誰でも簡単に乗り始める事が出来ます。さらに坂道では、重力を利用してバックまで出来てしまいます。(あまり意味無いですけどネ。)
ただしコーナリングは話しが別で、特にタイトなハイスピードコーナーでは、かなりの度胸とテクニックが要求されます。これはコーナリング中に内側の前輪が簡単に浮いてしまうためで、試乗車特有のものなのか、前触れの無い突然の挙動変化にびびらされます。が、素直にコーナーの手前で充分に減速すれば、何ら問題ありません。
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というわけで、個人差は有るにせよ、いずれのタイプのリカンベントも、少しの練習で簡単に乗りこなすことが出来るようになるので、皆さんもチャンスがあれば試乗にどんどんチャレンジしてみてください。
【2】 乗車フォームの違い
普通の自転車と見た目で大きく異なる乗車フォームの違いが、実際どんなもんか、MTBを交えて比較してみました。下の写真の上段が軽自動車との対比、下段がライダーからの見た目映像です。
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今回取り上げたビジョンやウインドチータ以外のリカンベントも、だいたい、このような乗車フォームになりますが、貴方は写真を見て、どう感じましたか?やっぱり変ですか?(笑) 普通の自転車に見慣れた目には、変り種自転車としか映らないのも納得ですネ。
でも、固定観念を取り払ってビジョンを見てみれば、とても優雅でリラックスしているように見えませんか?ウインドチータを見て、とてもスポーティでカッコイイと思いませんか?
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上の対比で気になるのは、やはりウインドチータの圧倒的な乗車位置の低さでしょうか。頭のてっぺんが軽自動車の窓へ辛うじてかかる高さしかなく、これで道路を走って危なくないの?なんて疑問も湧きます。
という訳でウインドチータには、背丈ほどの高さに黄色い旗が標準装備となっており、命綱ともいえるこの旗があれば、ひとまず視認性は充分なようです。ビジョンの方はもともと充分な高さが有るので、リカンベントの欠点としてよく語られる「視認性の悪さによる交通事故」は、実際は少ない(無いとは言い切れない)のではないでしょうか。
それでも実際に道路を走っていて、自動車にスレスレで抜かれるのは、かなりの恐怖で、自分の存在に気付いているのだろうかという不安も感じますが、大抵の自動車は、ママチャリを抜かすとき以上に車間を開けて抜いてくれるので、特に問題は無いようです。きっと抜く方も、得体の知れぬモノに、少なからぬ不安感を感じているのでしょうね。
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ちなみにウインドチータで見る横の景色は、、、ガードレールです。 この板状のガードレールが幅を利かす日本では、低すぎるシートポジションは、キョロキョロ脇見しながら景色を楽しむような走りには、向いてないのかもしれません。
ところで、前出のライダーからの見た目映像で、二輪、三輪のリカンベント群と、普通の自転車代表のMTBに、大きな違いが有ることに、貴方は気付いてますか?
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その違いは、圧倒的な“ 空 ”の広さです。
乗車時の目線が水平より上になるために、見上げることなく、目の前には自然と大きな空が広がるのです! この感覚はカヌーやオープンカーとも共通するもので、天気の良い田舎道はもちろん、街中でも、普通の自転車に乗っている時には感じられない素晴らしい開放感を得ることが出来ます。
自転車にまたがるのでなく、座ることにより得られるこの優雅さが、リカンベントの魅力を語る上での大きなポイントなんだと思いました。
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