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【５】 平坦路をぶっ飛ばしてみました！
まさしく本領発揮、リカンベントのポテンシャルは平坦路で最大限に発揮されるようです。
上り坂ではウィークポイントとなった、体重を掛けずに太ももの筋力だけで駆動力を生み出すペダリングも、負荷の少ない平坦路では、無理しなくともその運動を続けられるので、上体の負担を軽減する乗車ポジションと相まって、普通の自転車よりも、長距離を楽チンに走ることができます。
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 リカンベントの寝そべるような乗車フォームは、自転車の最大の敵「空気抵抗」を大幅に軽減する効果もあり、平坦路では、普通の自転車を明らかに上回るスピードを、誰もが体感することができます。
当然の事ながらこの傾向は、地を這うごときウインドチータの方がより強く、例えばビジョンの後ろをウインドチータで追走すると、強力なドラフティング（スリップストリーム）を感じて、ビジョンを一気に抜くような芸当もできるのですが、逆にウインドチータの後ろをビジョンで追走すると、ドラフティングがほとんど感じられずに、ウインドチータにおいて行かれることさえ有ったりします。 |
 そんな感じで平坦路をぶっ飛ばしていると、なるほど、海外のホームページでよく見られるように、リカンベント・オーナーが愛車にカウリングを付けたがる気持ちが、実感として理解できるようになります。カウルで空気抵抗を減らせば、もっともっと速いスピードで巡航できそうな気がしてくるんですよね。実際、写真のウインドチータのカウル付きモデルなんかは、オリンピックとかで樹立された競技用自転車のワールドレコードを、次々と破っているようです。 |
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さらに、リカンベントのゼロ発進は、最速です！
え？と思われるかもしれませんが、停まった状態からトップスピードに持っていくまでの加速感は、なぜか全身の筋力と重力を活かせるはずの普通の自転車の比ではなく、足の筋力をフルに活かせるリカンベントの効率の良さを、はっきりと実感できる瞬間でもあります。ただし飛ばし過ぎは禁物。過剰な出力が、あっという間に太もものエネルギーを使い切ってしまうのは、苦手な上り坂と同じ理屈です。
この加速の鋭さと、目線の低さによるド迫力の体感スピードは、タイトコーナーの連続するクローズドサーキットでレースすれば、きっと楽しいだろうなぁ、という空想を掻き立てます。ホント、もし近い将来リカンベントが普及すれば、レースの一分野として、いずれは実現してほしいなぁ、と思いました。
【６】 試乗を終えて。
結局、平坦路こそリカンベントの活きる道なんでしょうか？
確かに平坦路をリカンベントでビュィーンと飛ばす感じは、普通の自転車では決して得られぬ快楽であり、広大な平野部を有するオランダやアメリカ，オーストラリアで、多数のリカンベントが開発されているのも納得です。しかし、山岳地帯であるはずのスイスでもリカンベント・メーカーが存在し、アメリカで大陸横断をするようなツアラー達は、険しい上り坂を越えることも承知の上で、リカンベントを選んでいるはずです。
平坦路の魅力が上り坂でのウィークポイントを補うのか、普通の自転車との能力的な優劣はともかくとして、シートに座り込むことによって得られるリラックス感や、目線の高さや方向からくるスピード感や開放感などが、リカンベントの魅力を語る上での重要なポイントなんだと思います。特に広い空を感じる乗車ポジションは、アウトドアで楽しむ乗り物にとっては、とてもポイントが高いはずです。
このことは、他と変わったモノを好む人が、単に変り種自転車としてリカンベントを選択するのでなく、普通の自転車では得る事のできないポテンシャルを持つリカンベントを、乗り物としての自転車の一車種として選択するのが、リカンベントを選ぶ上でのホントの姿であることを示唆していると思うのですが、皆さんはどんな考えをお持ちになったでしょうか？
今回の試乗で感じた、リカンベントの走りの印象をまとめてみると、
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＠ 基本的に上り坂は苦手。スピードを抑えて攻める必要あり。
＠ 下り坂は、恐怖感を感じずにビュンビュン攻めることが可能である。
＠ さらに平坦路では、普通の自転車を凌駕する、圧倒的な速さを示す。
＠ 加速も大の得意だが、飛ばし過ぎは禁物。
＠ 上体がリラックスするため、長時間走行にも向いている。
＠ コーナリングは各モデルの特性に大きく左右される。
＠ 同じくブレーキングも、各モデルの特性に因るところが大きい。
＠ 何より、乗車フォームから得る開放感は絶品である。
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といった感じでしょうか。
「いやぁ〜、それにしても楽しい乗り物だなぁ〜」というのが、今回の試乗の総括した感想ですネ。これは小径車にも通じる感覚であり、普通の自転車に大した理由も無く、こだわり続けるのが、いかに自転車の世界を偏って見る事になるかという、代表例の一つなんだと思います。
近ごろアメリカでは、「自転車のサドルは、男性の生殖機能に悪影響を与える」という研究結果が発表され、そんな方向からもリカンベントへの注目度が高まっているそうです。
皆さんもチャンス有れば、ぜひともリカンベントの試乗にチャレンジしてみてくださいネ。そうすればきっと、今まで以上に自転車の楽しみを、大きく広げることができると思います。
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1999年6月18日
写真と文 宿野輪天堂・OGYAN |
 今回の試乗車２台のオーナー（ウインドチータは共同所有）で、試乗写真のモデルを努めてくださったのは、兵庫県在住の矢野克彦さん。リカンベントの他にフォールディングバイク（折り畳み自転車）にも通じていて、ビジョンを毎日の通勤に愛用してたこともあるそうです。ご協力ありがとうございました！ |
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特報！ このページで紹介した矢野さん所有のビジョンが、氏のご好意により、宿野輪天堂の所有となりました！ という訳で、試乗してみたいと思った方は、お気軽に宿野輪天堂まで遊びに来てくださいネ。 （注：試乗には身分証明が必要です。）
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